截金ガラス 銀座に輝く 富山ガラス造形研卒・山本さん新作 – 中日新聞



完成した山本茜さん(右)の新作「生命輝く」。中央付近に半円状の彫り込みが見える。真珠が生まれる瞬間も凝縮されている=京都市内で

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 金箔(きんぱく)を使った伝統工芸「截金(きりかね)」とガラス造形を融合した「截金ガラス」を手掛ける金沢市生まれの工芸家山本茜さん(39)=富山ガラス造形研究所卒業=の新作「生命(いのち)輝く」が、6月1日にオープンするミキモト銀座4丁目本店(東京都)に常設展示されることになった。真珠を生み出す伊勢志摩の海、銀座で活躍する女性を表現している。(沢井秀和)

ミキモト本店で常設展示へ

真珠の海を表現「命がけで」

 「生命輝く」は縦三十一センチ、横二十五センチ、高さ十三センチ。全体はアコヤ貝をイメージし、十三面の透明度の高いカットガラスで構成する。深い緑、紫、青の色が角度によってきらめき、神秘的な伊勢の海、真珠の輝きを想起させる。
 截金は金とプラチナを使い、小さな弧をいくつも描くように施し、寄せる波をかたどっている。
 作品の下から半円状の彫り込みを入れたのも特徴。ミキモトを起こした御木本幸吉(中日文化賞受賞者)が一八九三年に世界で初めて養殖に成功した真珠が半円状だったことにちなみ、新たな輝きが生まれる瞬間も作品の中に凝縮させた。
 ミキモトと雑誌「家庭画報」(世界文化社発行)が共同企画として制作を依頼した。
 山本さんは小学六年の修学旅行で伊勢を訪れ、幸吉の生き方に感動し、真珠島(三重県鳥羽市)に何度も通った「幸吉ファン」。今回改めて貝の特徴、真珠生産の様子を養殖場で取材し、デザインを練った。
 大型作品は通常、試行錯誤しながら三年ほどで作るが、オープンの日が決まっており、厳しい作業が続いた。山本さんは「すべての仕事をキャンセルし、命がけで一年間、集中した。ガラスが割れたり、溶着が失敗すれば、すべて終わり。不安との戦いだった。ようやく完成したので、やっと眠れる」と話している。
 山本さんは人間国宝の故江里佐代子さんから截金を学んだ。京都市在住。
 截金ガラス 仏像や仏画を飾る装飾として受け継がれた截金をガラス造形の中で表現する。細かく棒状に切った金箔やプラチナ箔を筆で文様を構成しながらガラス面に貼り、さらにガラスをかぶせて融着する。山本茜さんが2007年から世界で初めて挑戦。研磨を重ねて気泡、曇り、傷がないガラスを使って截金の美しさを際立たせている。

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